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5.「芳年武者无類 遠江守北條時政」 月岡芳年 明治19年(1886)
伊豆の豪族、北條時政は、流人源頼朝の監視役でしたが、娘の政子が頼朝と結ばれたことで運命が変わります。挙兵を助け頼朝の舅としてその地位を確立。幕府内では権謀術数をもって他の有力御家人たちを追い落としていきます。初代執権となりましたが、少々やりすぎたため、息子の義時に強制的に伊豆に隠居させられてしまいました。
北條氏の家紋は三つ鱗。時政が江の島弁財天へ参籠し、子孫繁栄を祈願した際、龍女の奇瑞を得て三つの鱗を授かりました。これが三つ鱗家紋の言い伝えとされ、その場面を描いています。「芳年武者无類(よしとしむしゃぶるい)」は、浮世絵師・月岡芳年の人気の武者絵シリーズです。
特別展「頼朝起つ 鎌倉殿と坂東武者たち」で、令和4年7月10日まで展示しています。