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菱川師宣の浮世指南

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 記事Id:0003943 更新日:2020年5月25日更新
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菱川師宣の浮世指南

浮世続 「浮世続」

 師宣の版本は、老若男女、浮世を謳歌する人たちのための、まさに浮世の入門書です。読んでみると現代とあまり変わらない江戸っ子たちがそこにいます。どんなことが書かれているのか、ちょっとのぞいてみましょう。まずは「浮世続」(天和2年刊)、吉原での心得のページです。(読み下して、意訳して現代語風に直しています)

「吉原の初心者ってのは、あちこちの見世先に立ち寄っては、初めてと悟られまいと、わざとひじをいからかして、口をきく。こりゃ醜いね。まぁ、黙って爪なんかくわえて、恥ずかしげに、おっかなびっくりのぞきこんでいるよりは、良しとしようや。この道の粋な達人ってのは、ただ何となく、普通に見えて、目立つことはないね。この道は情けが第一さ。心はゆったり持って、愛しいような雰囲気で、お大尽らしく振る舞えば、相手方も喜んで、ふとしたことでも笑みを含んでくれるのさ」

次は、江戸のタウン情報誌とも言うべき「このころくさ」(天和2年刊)、江戸のマジシャンのページです。

このころくさ「このころくさ」

「堺町の芝居小屋で、いにしえの伝内という放下師(手品師)が今大人気だ。種もしかけもない品玉の術がおもしろいと言うんで見物してみた。まず一つの玉を取り出して、二つにし、今度は五つにし、その五つをもみ消して一つにしたと思ったら、何も無くしてしまう。お次は底なしの筒を三つ取り出して、舞台に据えて、中からいろんな物を取り出す。まずは子どものおもちゃ人形から、はと、うずら、かご行灯、最後は生きた牛を取り出して、舞台を三度巡らせるから驚きだ。前代未聞の達人ということで、いにしえの伝内と呼ばれているそうだ」

 現代のマジシャンのルーツが、江戸時代の前期からあったとは驚きです。また文章も取材した風に書かれているところが、まさに現代の情報誌や写真週刊誌の形式が、すでにできあがっているのです。師宣の登場は江戸のメディア革命でもあったのです。

 菱川師宣記念館は、こうした師宣の絵本を多数展示しています。

 


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