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30周年記念特別展「浮世絵ジャポニズム~日本と西洋を繋いだ浮世絵~」開催

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 記事Id:0024651 更新日:2016年1月9日更新
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会期 平成28年1月9日(土曜日)~2月7日(日曜日) 会期中無休

特別展入館料 大人 800円(640円) 小・中・高校生500円(400円)
( )内団体20名以上料金

「海辺の船」 クロード・モネの画像

「海辺の船」 クロード・モネ

「牧草地の牛」 アルフレッド・シスレーの画像

「牧草地の牛」 アルフレッド・シスレー

(c)東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom

-浮世絵に魅了された印象派・マネ・モネ・ルノワール・ゴーギャン・シスレーらが集う-

19世紀後半、ヨーロッパ美術界にジャポニズムと呼ばれる現象が起こります。日本美術、とりわけ浮世絵版画における日本独特の大胆な空間表現や色彩使いなどが、当時の西洋の画家たちに強烈な印象を与えたのです。それは、それまでの伝統的な写実主義から革新的な「印象派」と呼ばれる画家たちを誕生させます。マネ、モネ、シスレー、ピサロ、セザンヌ、ルノアールなど。彼らは日本の浮世絵風景版画、特に葛飾北斎、歌川広重らの作品から多くを学び、影響を受けたと言われます。言わば日本の「浮世絵」が、西洋の因習的な絵画に革新をもたらしたと言えますが、そもそも「浮世絵」は、誕生時から変革の担い手という使命を運命づけられていたのです。
日本では、近世初頭、土佐派、狩野派と言った伝統的絵画から、世相を反映した庶民的で開放的な新たな絵画様式を創り出してきたのが「浮世絵」であり、その祖が菱川師宣という絵師でした。
菱川師宣の生誕地である千葉県鋸南町では、彼の業績や浮世絵の歴史や文化を紹介する施設として菱川師宣記念館を運営してきました。その開館30周年という節目において、あらためて「浮世絵」の海外への影響という観点で、師宣が創始した「浮世絵」が日本の絵画文化を変え、さらに、その後海外に渡り、同じように西洋の絵画文化にも変革をもたらしたという、運命的とも言える日本と西洋を繋いだ「浮世絵」をテーマに、東京富士美術館の特別協力により、同館所蔵の印象派絵画作品等の名品を紹介する展覧会です。

「名所江戸百景 亀戸梅屋鋪」 歌川広重の画像

「名所江戸百景 亀戸梅屋鋪」 歌川広重

「読書する女」 ピエール=オーギュスト・ルノワールの画像

「読書する女」 ピエール=オーギュスト・ルノワール

海を渡った浮世絵 が「印象派」を導く

1856年頃、パリの版画家ブラックモンは、日本から送られてきた陶器の包装紙に使われていた「北斎漫画」の紙片を見て、そのデッサンの素晴らしさに驚嘆します。彼はすぐさま友人の画家マネ、ドガらに見せて回ったと言います。
菱川師宣から始まり、約200年、江戸で熟成された「浮世絵」が、海外に渡り、ヨーロッパで大いなる驚きで迎えられ、やがて空前のジャポニズム(日本趣味)を巻き起こします。
特に旧態依然とした官立美術学校やサロンとよばれる官展が主流だったフランスの美術界にうんざりしていた若き画家たちは、ジャポニズムに心酔し、浮世絵からあらたな絵画の可能性に目覚めていったのです。
彼らが浮世絵に見たものは、葛飾北斎、歌川広重らが描く風景版画「富嶽三十六景」や「名所江戸百景」などの斬新な構図、自然の光や色彩の効果、変化する時間の移り変わりの表現でした。
1874年春、モネ、ピサロ、ルノワール、シスレー、ドガ、セザンヌらを中心とする気鋭の画家たちが、官展サロンに対抗して、初めてパリで団体展を開催します。これは当時とすればかなり反骨。この時のモネの出品作「印象-日の出」を見た批評家が、これは絵でもなんでもないと嘲笑した記事を書き、彼らを「印象派」とこきおろします。
モネはそれを逆手にとって、自らこのグループを「印象派」と名づけたのです。

これは日本の「浮世絵」誕生の過程と非常によく似ています。時代・場所は違えど、伝統格式を重んじる古い体制から新たな絵画文化を創出すべく立ち上がった菱川師宣とモネ、ルノワールらは、言わば同志のような運命さえ感じさせると言ったら言い過ぎでしょうか。
実は印象派の画家の中で、浮世絵と縁のなかった作家を探し出すのに苦労するほど、浮世絵の彼らへの影響力は強いのです。
ゴッホは浮世絵に傾倒するあまり、400点以上の浮世絵を収集し、広重の「名所江戸百景」の「亀戸梅屋鋪」「大はしあたけの夕立」を自ら模写し、また「タンギー爺さん」のように作品の背景に浮世絵を配したものがあるのは有名です。
モネのジャポニズム・日本趣味は有名で、最愛の妻カミーユに赤い着物を着せ扇子を持たせて振り返る姿を描いています。背後の壁には様々な日本の団扇が配されているその作品の題名は「ラ・ジャポネーズ」。これはまさに菱川師宣の「見返り美人図」をほうふつとさせる作品です。ルノワールの描いた「団扇を持つ若い女」は、喜多川歌麿の美人大首絵を連想させる作品です。
日本の浮世絵が、西洋の絵画界にどれほどの影響を与えたのか、「印象派」誕生がどれほど画期的な出来事だったのか。菱川師宣記念館では、30周年記念特別展として、「浮世絵ジャポニズム 日本と西洋を繋いだ浮世絵」を開催します。浮世絵の祖菱川師宣出生のこの鋸南町で、展示される印象派の画家たちの名品をぜひご覧ください。


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